使命と魂のリミット
東野圭吾の新作「使命と魂のリミット」を読みました。
作風が幅広い東野圭吾氏の本作は、心臓外科が舞台になっています。
幼い頃父を動脈瘤の手術で失った娘が、医師を目指し、父の手術で執刀した外科医のもとでインターンを務めます。凄腕の外科医がなぜ自分の父のときに手術を失敗したのか疑問に思う娘。自分の母親との再婚が決まり、「わざと手術を失敗したのでは」との疑惑が大きくなっていきます。そんなとき、病院に一通の脅迫状が届きます。その文面には、「医療ミスを認め、その事実を公表しなければ、病院を破壊する」と書いてあって・・・。
相変わらずのリーダビリティで、すいすい読めてしまいます。「チーム・バチスタの栄光 (くりす流)」よりも医学的な話は少なく、ヒューマンドラマが中心。
週刊新潮に連載されていた作品で、各章毎の盛り上がりがあって、ついつい読み込んでしまうのですが、全体を通したときのストーリーは、東野氏の作品の中では中の上くらいの出来かもしれません。最後のオチも、個人的にはすっきりしない形でした。
まあ、これは僕が最近「ER」で、医学的に困難な状況に様々な工夫を凝らして立ち向かっていく医師達の姿をずっと観ていたからかもしれません。そういう背景がなく、普通に読んでいたら、終盤はもっとぐっと入り込めたのかも。
映像化に向いているストーリー(東野氏は彼の作品はほとんどそうだと言っていますが)なので、そのうち映画化、もしくはドラマ化されるかもしれません。