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「書籍・雑誌 2005-06」のアーカイブ

2006年12月19日

使命と魂のリミット

東野圭吾の新作「使命と魂のリミット」を読みました。

作風が幅広い東野圭吾氏の本作は、心臓外科が舞台になっています。


幼い頃父を動脈瘤の手術で失った娘が、医師を目指し、父の手術で執刀した外科医のもとでインターンを務めます。凄腕の外科医がなぜ自分の父のときに手術を失敗したのか疑問に思う娘。自分の母親との再婚が決まり、「わざと手術を失敗したのでは」との疑惑が大きくなっていきます。そんなとき、病院に一通の脅迫状が届きます。その文面には、「医療ミスを認め、その事実を公表しなければ、病院を破壊する」と書いてあって・・・。


相変わらずのリーダビリティで、すいすい読めてしまいます。「チーム・バチスタの栄光 (くりす流)」よりも医学的な話は少なく、ヒューマンドラマが中心。

週刊新潮に連載されていた作品で、各章毎の盛り上がりがあって、ついつい読み込んでしまうのですが、全体を通したときのストーリーは、東野氏の作品の中では中の上くらいの出来かもしれません。最後のオチも、個人的にはすっきりしない形でした。

まあ、これは僕が最近「ER」で、医学的に困難な状況に様々な工夫を凝らして立ち向かっていく医師達の姿をずっと観ていたからかもしれません。そういう背景がなく、普通に読んでいたら、終盤はもっとぐっと入り込めたのかも。

映像化に向いているストーリー(東野氏は彼の作品はほとんどそうだと言っていますが)なので、そのうち映画化、もしくはドラマ化されるかもしれません。

使命と魂のリミット
使命と魂のリミット
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東野 圭吾
新潮社
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2006年12月 8日

おまけより割引してほしい―――値ごろ感の経済心理学

「おまけより割引してほしい」を読みました(これまた小飼弾氏のブログから)。

SEとして、自分の作るシステムの「価値」「価格」について考えていたところだったので、ちょうど良いタイミングでした。

本書は「値ごろ感」を以下の式で表現して説明してくれます。

(値ごろ感)=(価値)/(価格)

つまり、単価あたりの価値が高いほうが、お値ごろ価格であるということ。

この式をベースに、僕らの生活の中のちょっとしたことを解説してくれます。

・なぜ吉野家の牛丼は280円だったのか。
・なぜ寿司屋には「オール1皿100円」「赤皿100円、青皿200円、黄皿300円…」「時価」etcのように色々な料金体系が存在するのか。
・なぜ衝動買いをしてしまうのか。
・なぜデパ地下は食料品で、高級品は上の方の階となっているのか。
etc.

割に衝動買いしやすい体質なんですが、これでちょっとは改善されるかもしれません。

おまけより割引してほしい―値ごろ感の経済心理学
徳田 賢二
筑摩書房
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2006年12月 6日

セックス・ボランティア

障害者の性について書かれた「セックス・ボランティア」を読みました。

昨日のエントリで紹介した「そして殺人者は野に放たれる」と同時に新潮社から文庫化されました。どちらの本も、社会から「見なかったこと」にされているタブーについて触れている本なので、興味を持つ人は両方気になるのか、Amazonの「この本を買った人はこんな本も買っています」でセットになっていました。

僕は書店で買ったのですが、一緒に買ってしまう心境はなんとなく分かります。

本の内容は、障害者への性のボランティアについて。

自分で自慰行為ができない障害者に対してマスターベーションの介助をしたり、セックスの相手がいない障害者のセックスをしたりするボランティアをセックス・ボランティアと呼ぶそうです。

障害者でもそういう行為が必要である、というのは当たり前のことなのに、今まであまりそういうことについて考えたことがありませんでした。

冒頭に登場するおじいさんが強烈で、年金を切りつめて貯めたお金で、年に1回ソープランドに行くそうです。そこで、酸素ボンベをつけていないと呼吸が苦しいのに、そのボンベを外して本当に命がけで行為に及ぶのだとか。

本書では、セックス・ボランティアについての何かの結論が出るわけではなく、作者の河合香織さんが取材した事実をかみしめるように書かれているだけなので、その是非について答えが欲しい人は物足りなさを感じるかもしれません。

ただ、自分の住んでいる社会にはこういう一面もあるのだということを知る良い入り口になる本ではあります。

セックスボランティア
河合 香織
新潮社
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2006年12月 5日

そして殺人者は野に放たれる

小飼弾のブログのエントリ「404 Blog Not Found:そして殺人者は野に放たれる」で紹介されていた「そして殺人者は野に放たれる」を読みました。

この本を読むと、日本が法治国家ではなく、放置国家であることがよく分かります。

大量殺人を犯しておきながら、異常すぎて犯行の際の心境が不明という理由で、刑を軽くされたり無罪にされたりする犯人たち。

日本が被害者にとって厳しい国だと言うことは、何かの本を読んで知っていましたが、逆に犯罪者にとってここまで大甘だとは思いませんでした。

以前、「39-刑法第三十九条-」という映画を観たことがあります。

殺人を犯しながらも犯行中の記憶がないと訴える犯人が、裁判中に異常な行動を見せたことで、犯行中の心神喪失が疑われ、精神鑑定にかけられるという映画でした。

堤真一演じる犯人と、鈴木京香演じる精神鑑定人の演技が光る面白い映画でしたが、この本を読んでからだとまた見方が違ってくるかもしれません。

そもそも、犯行中に「心神喪失」状態であったら、罪を償わなくて良いのか。

守るべき家族や恋人がいる人たちは、この本を読んで、明日降りかかるかも知れない災いへ心構えをしておくべきかもしれません。


そして殺人者は野に放たれる
日垣 隆
新潮社
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39-刑法第三十九条-
39-刑法第三十九条-
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2006年11月16日

「サルまん」復活!

あの伝説の漫画「サルまん」が復活するそうです。


たけくまメモ : 【発表】来春『サルまん』新連載


これはかなり楽しみ。

サルまんと言えば、「ちんぴょろすぽーん」や「モメーン、モメーン」というギャグを遺した伝説的漫画です。

それが今この時代に復活するのですよ。

掲載紙は月刊誌の「IKKI」(IKKI公式サイト[イキパラ])で、来春から連載開始だそうです。

当時、「サルまん」に夢中になった方は要チェックですよ。


サルまん 21世紀愛蔵版 上巻
相原 コージ 竹熊 健太郎
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サルまん 21世紀愛蔵版 下巻
相原 コージ 竹熊 健太郎
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2006年11月 6日

チーム・バチスタの栄光

第4回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作です。

店頭で見かけていたんですが、「チーム・バチスタの栄光」というタイトルから、勝手に「野球チームの熱血感動もの」だとばかり勘違いしてました。

なにかのきっかけで「バチスタ」が医学用語であることを知り、たまたまDISCASで「ER」をレンタルして見ていたこともあって、読んでみることにしました。

amazonの商品紹介より
東城大学医学部付属病院では、心臓移植の代替手術であるバチスタ手術の専門チーム「チーム・バチスタ」を作り、次々に成功を収めていた。ところが今、三例続けて術中死が発生している。しかも次は、海外からのゲリラ少年兵士が患者ということもあり、マスコミの注目を集めている。そこで内部調査の役目を押し付けられたのが、神経内科教室の万年講師で、不定愁訴外来責任者・田口と、厚生労働省の変人役人・白鳥だった……。

作者が現役のお医者さんらしく、手術のシーンとか医者の心境とかが結構生々しくリアルに描かれています。ただ、キャラクターがコミカルに描かれていて、重くなりすぎず、適度にバランスが取られています。

印象に残ったのが、主人公の田口医師が、チーム・バチスタの面々を聞き取り調査するシーン。その中で、各人にそれぞれ名前の由来を聞くのですが、これが結構その人の本質を見抜く、良い質問らしいのです。

そんなこと軽々しく説明できないと言って話さない人や、「所詮こんな名前ですよ」と蔑んで話す人、或いは「こういう夢が込められているんです」と自信をもって話す人。そこに、自分とどうやって向き合っているのかという姿勢が垣間見えるそうです。

もう一点印象に残ったのが、「大事なのはしっかり聞くこと」ということ。

田口医師は、愚痴外来と揶揄される不定愁訴外来(治っているはずで、検査ではどこにも異常がないのに、いたみなどを訴えてくる人専用の外来)の医者なんですが、そこにやってくる患者はどの人もじっくり聞いてあげることで、痛みや不調がなくなり「完治」するそうです。

仕事の上で、最近よく聞くのが「モチベーションが上がるように、ちゃんと説明する」ということですが、実は大切なのは説明をする前に、その人のことを良く聞いて上げることだというのに、改めて気づかされました。僕は結構話を先読みしてしまう方なので、話の途中で口を挟まず、ちゃんと聞く練習をしなきゃなぁとちょっと反省。

変人役人白鳥が再度登場する次回作「ナイチンゲールの沈黙」という本も最近出版されたようなので、チェックしてみようかなと思ってます。

チーム・バチスタの栄光 OFFICIAL WEB SITE

2006年10月31日

DEATH NOTE 13

人気コミック「DEATH NOTE」の13巻を購入しました。


DEATH NOTE 13


本編は12巻で完結しているので、13巻は物語の解説や人物解説、作者二人(原作・作画)のインタビューが載っています。連載開始前の短編読み切りも収録されていて、DEATH NOTEに書かれた名前を消すと死者が生き返るという消しゴムが登場しています(これは本編に採用されなくて良かったアイテムです)。

これを読んで知ったのですが、「DEATH NOTE」は全108話(煩悩の数ですね)、13巻を13日の金曜日に発売と、内容以外の部分にもこだわりをもって取り組んでいたみたいです。

人間ドラマが描けていないという批判もあるようですが、この点に関しては、物語をエンターテインメント路線で突き進めるために、人間ドラマはあえて描かなかったと原作者の大場つぐみさんは語っています。

以下、インタビューの一部引用です。

「だからジャンプで連載ができて、本当に良かったと思います。少年誌だから自然と思想的な部分の歯止めが利いて、純粋にエンターテインメントに向かうことができましたから。もし青年誌で連載していたら善悪論の方が人気が出て、そちらに物語が傾いちゃったかもしれませんし」

先日紹介した「AERA comic」の中で、井上雄彦さんが「バガボンド」を青年誌で連載できて良かったと語っていました。

同じ漫画でも載せる雑誌の種類って結構重要なんだなぁと改めて思いました。

もしも、青年誌に「DEATH NOTE」が連載されていたら、もしも、少年誌に「バガボンド」が連載されていたら。想像するとちょっと楽しいかもしれません。


2006年10月28日

ニッポンのマンガ―AERA COMIC

AERAの特別増刊「ニッポンのマンガ―AERA COMIC」を読みました。


AERA COMIC


「漫画は日本の文化です」。そんなことを誰かが言ったかもしれませんが、世界を見渡したときに日本ほど漫画が生活に密着している国はありません。

漫画のことを「ポンチ絵」と呼び、大人になっても漫画を読む世代をバカにする世代の方もいらっしゃいますが、漫画は子供のためのものと決めたのは一体誰なんでしょうか。漫画をバカにしている人に限って、漫画を読んでいないことが多いです。バカにする前に、まず読んでみましょう。最近は、実に多種多様な漫画が様々な層に向けて発信されています。大人好みの、重厚なストーリーと絵で魅せる漫画もたくさんあります。まずは手に取ってみましょう。

と、熱く書き始めてみましたが、本題は「ニッポンのマンガ―AERA COMIC」の話。

日本の漫画を変えたのは、間違いなく手塚治虫ですが、その後、現在活躍中の漫画家で一二を争う漫画家の浦沢直樹(「YAWARA」「MONSTER」など)と、井上雄彦(「スラムダンク」「バガボンド」など)の特集が組まれています。

浦沢直樹特集部分では、書き下ろしの「月に向かって投げろ」という短編漫画が掲載され、さらに手塚治虫、大友克洋から受けた影響などについて語っています。

井上雄彦特集部分では、氏と作家の重松清氏の対談が掲載され、「スラムダンク」執筆のきっかけや最終回のエピソード、「バガボンド」に対する想いが語られています。

その他、年代別の注目漫画や、著名人の漫画に対する想いを書いたエッセイなど、おもしろい特集が目白押しでした。

その中でもやはり、僕の青春に大きな影響を与えた「スラムダンク」の作者井上雄彦氏の対談はおもしろかったです。

僕のマンガは全部が「プロセス」なんで、常に決まった道を進んでいるわけじゃなくて、アドリブで話が展開している。

この話には驚きました。「バガボンド」は確かに吉川英治氏の原作を大きく離れて展開しているので、もしやと思ってはいたのですが、結構雰囲気で話の流れを決めているようです。

対談の記事だと、最終的に巌流島に行かないようなこともあり得るのだとか。確かに、今の展開で、大見得切って巌流島に行くというのもちょっと違うかなぁと。まあ、これも「流れ」で決まるので、なんとも言えないのですが。

なんかまた「スラムダンク」を1巻から読み直したくなっちゃいました。実家に置いていたあの漫画、捨てられちゃったかなぁ。

2006年10月 9日

超こち亀

Amazonからようやく「超こち亀」が届きました。


超こち亀


連載30周年を迎えた「こちら葛飾区亀有公園前派出所」こと「こち亀」の記念本になります。

記念本というだけあって、内容が超豪華。

コラボレーション漫画が5つ収められていて、それぞれ『ゴルゴ13』、『ルパン三世』、『キン肉マン』、『ドラゴンボール』、『ジャンプ連載ギャグマンガ陣』と共演しています。

どの回もおもしろいのですが、特に良かったのが『ドラゴンボール』の回。フリーザと両津勘吉が対決してます。

コラボレーション漫画に加えて、各作家陣による1ページ漫画(もちろんこち亀がらみで)が数多く収められてます。

ジャンプ黄金期世代の僕としては、『JOJO』の荒木飛呂彦さんによる両津や、『SLAMDUNK』の井上雄彦さんによる両津、『北斗の拳』の原哲夫さんによる両津、『魁!!男塾』の宮下あきらさんによる両津にぐっときました。感涙ものです。あと、他の雑誌の作家陣も参加していて、マガジンで『はじめの一歩』を連載している森下ジョージさんとかも両津を描いてます。

こういうのを見ると「ドラえもん」レベルでアイコン化されてるんだなぁと実感できます。

その他、作者の秋本治さんと著名人の対談や、これまでのこち亀の歴史をキャラ別に振り返る、などなどおもしろい企画が盛りだくさん。

しばらくこれで楽しめそうです。

2006年10月 8日

世界を見る目が変わる50の事実

YouTubeにアップされていた「世界一受けたい授業」で、ジェシカ・ウィリアムズさんの授業を観ました。授業のタイトルは「世界を見る目が変わる50の事実」。


世界を見る目が変わる50の事実


ジェシカ・ウィリアムズさんはBBCのジャーナリストで、世界中の色々なデータを集め、タイトルの通り「え? そうだったの?」と常識の盲点を突くような統計結果をまとめていたそうです。そのデータをまとめたのが、"50 Facts That Should Change the World"という本。日本語訳で「世界を見る目が変わる50の事実」という本も出版されています。

50の事実のうち、番組中で紹介されていたのが以下の14個。

  1. 世界の人口の70%以上は電話を使ったことがない
  2. 毎年10の言語が消滅している
  3. 世界の違法ドラッグ市場規模は4000億ドル(製薬市場とほぼ同じ)
  4. アメリカ人の3人に1人はエイリアンがすでに地球に来たと信じている
  5. ブラジルには軍人よりも化粧販売員の方がたくさんいる
  6. 肥満の人の3人に1人は発展途上国に住んでいる
  7. 70カ国で同性愛者は違法、9カ国で死刑になる
  8. ケニアでは家計の3分の1が賄賂に使われている
  9. ロシアで家庭内暴力のために殺される女性は毎年1万2000人を超える
  10. 世界中の紛争地帯で戦う子供兵は30万人
  11. 世界には今も2700万人の奴隷がいる
  12. インドでは4400万人の児童が働かされている
  13. 世界の死刑執行の81%はわずか3カ国に集中している(中国、イラン、アメリカ)
  14. 世界の5人に1人は1日1ドル未満で暮らしている

「肥満」とか「家庭内暴力」とか「死刑」とか「同性愛」とか、普段語られることの多いネタを、普段とは違う視点から見ると、驚きに変わるものの連続です。

僕が一番驚いたのは、一番目の「世界の人口の70%以上は電話を使ったことがない」というもの。

インターネットが普及して電話で直接会話することが減った僕にとっては、いきなり突きつけられるとショックの大きいデータです。

こういう世界の統計ものは、人口が多い中国とインドでだいぶ数字が変わってくるので、こういった結果になるのでしょうが、それでも改めて地球の広さ、文明のばらつき、文化の違いを感じてしまいます。

残りの36個も知りたくなったので、Amazonで探してみたところ、レビュー欄に日本語訳では抜け落ちている情報が多々ありとの書き込みがあったので、洋書を買ってみることにしました。時間を見つけてゆっくり読むことにします。


2006年9月28日

竜馬がゆく(1)~(4)

会社の先輩から「竜馬がゆく」を借りて読んでます。


坂本竜馬


歴史物にあまり興味がなくて、しばらく(小学生の頃の伝記ものの漫画以来!?)読んでいなかったのですが、なかなか、いや、かなり面白いですね。

特に、坂本竜馬が活躍した幕末は、昨年大河ドラマ「新選組!」で見たばかり。あの頃の時代背景が改めて分かって、へーなるほどと頷くことしきりです。

それにしても、「新選組!」のキャストってはまり役の人が多かったんですね。こうして本を読んでいて、人物の描写を想像すると、たいてい「新選組!」の役者の姿が思い浮かびます。

坂本竜馬が江口洋介で、桂小五郎が石黒賢、勝海舟が野田秀樹なんて、もうぴったしじゃないですか。

全8巻中、今ちょうど半分読み終わったところ。

脱藩した浪人の竜馬が軍艦を手に入れてぶいぶい言わせているところです。

ありきたりな感想ですが、竜馬の考えや行動からは、色々と考えさせられることが多く、勉強にもなっています。

一番共感できるのは、変な「見栄」や「打算」がなく、「行動」によって「当たり前」を崩していくところ。

僕もこうありたいなと思ってるんですが、なかなか難しいんですよね。


2006年9月21日

三谷幸喜のありふれた生活5 有頂天時代

三谷幸喜さんのエッセイ「有頂天時代」を読みました。


有頂天ホテル


朝日新聞に連載されているエッセイで、清水ミチコさんとのラジオ番組開始から大河ドラマ「功名が辻」出演までの間のことが収められています。

2005年から2006年にかけて、三谷ファンにとっては幸せな一年間でした。

大河ドラマ「新選組!」は毎週観られるし、年始には古畑任三郎のファイナル3本に、「新選組!」のスペシャルドラマ、舞台では「12人の優しい日本人」(これは観られませんでした…)、そして映画「有頂天ホテル」です。

旧来の大河ファンには人気がなかった「新選組!」ですが、あれは面白いドラマでした。その「新選組!」について、「そうそう!」と頷いてしまった一節があったので紹介しておきます。

あくまでも僕は、僕と同じ時代に生まれてきた人たちのために作品を作る。後世のことなど考えたこともない。 テレビの連続ドラマにも同じことが言える。「新選組!」をDVDで初めてご覧になった方には申し訳ないけど、あのドラマの本当の面白さは、週に一回ずつ一年かけて観続けた人だけが味わえるものだと、僕は思っている。連ドラってそういうものだから。

そうなんですよ。DVDでまとめてみるのと、毎週一回ずつ観るのは違うんですよ。

理由はいくつかありますが、二つ挙げてみます。

一つは、「役者陣の成長がタイムリーに分かる」というもの。

「新選組!」は、田舎の浪士達が、自分たちも世に出たいと、志を共にして、結束力あるチームを作り上げていくというお話。この「主人公達が成長して、新選組が次第に組織として成熟していく過程」と「若い役者達が成長して、ドラマが次第に成熟していく過程」が絶妙にシンクロするというのが魅力でした。

一気に観るよりも、実生活の中で一年を通じて時間の流れを感じることで、その成長具合がよりリアルに分かりました。

もう一つは「次回の放送までに、自分の知らなかった史実やちょっとだけ登場した登場人物について調べることができる」という点。

「次回はどんな話なんだろう」「この頃、この人達は何をしていたんだろう」と好奇心がむくむくと大きくなって、色々調べちゃいました。

やっぱりあのドラマは、リアルタイムで観て正解だったんだなぁ。

一年通じてドラマを観たご褒美を三谷幸喜さんからもらったようで、ちょっと嬉しくなっちゃいました。

2006年9月16日

夜のピクニック

恩田陸著「夜のピクニック」を読みました。


夜のピクニック


2005年の本屋大賞に選ばれた作品です。

一晩かけて80kmの距離を歩くという全校行事「歩行祭」。高校生活の最後を締めくくるこのイベントに、主人公の甲田貴子はある決意を胸に挑みます。

ただ「歩く」だけの行事なんですが、そういえば僕も小学生や、中学生、高校生の時に似たようなイベントがあったことを思い出しました。また、学生時代の「学園祭」や「修学旅行」といったイベントで感じる気持ちが、高校生の視点から描かれていて、「そういえばこんな感覚だったなぁ」と、改めて自分が歳をとったことに気が付かされました。

「親友」であれ、ただの「友達」であれ、或いは「仲間」であれ、人と人とが分かり合うということには、色々な壁があるものです。ただ、仲の良さや、信頼関係を一歩ずつ高めていくためには、相応の勇気と痛みが伴うものだと言うことを教えてくれる作品です。


2006年9月11日

The MANZAI 3

「バッテリー」のあさのあつこが描く青春漫才物語「The MANZAI」の第3巻を読みました。



以前も書きましたが、読んでいると自分の高校時代を思い出して、ちょっぴり切なくなります。

交通事故で父と姉を失い、学校ではれ物にさわるような扱いをうけた主人公は、自分をさらけ出すことや人を信じることができなくなっています。そんな弱気な主人公が、漫才をやろうと誘ってくる同級生に感化されながら大きく成長していく物語です。

「ピュアフル文庫」の名の通り、甘くて淡い青春のかほりを楽しむ文庫なのですが、僕としては「笑い」や「舞台」の描写に共感を覚えてしまいます。

初めて大勢の前に立って漫才を披露した主人公の、衝撃と価値観の転換は僕も高校生のときに経験しているのでよーく分かります。

自分の言葉や動きで、大勢の人が反応してくれるのは、麻薬に似た快感があるのです。

今はこうしてふつーに就職して、ふつーに結婚して、ふつーに子供がいる感じになっていますが、今でもたまに自分が舞台に立って演技する姿を夢想しちゃいますからね。

児童小説なので、おそらく最後は卒業のシーンで終わるんでしょうが、個人的には、青年編、売れない芸人編、売れっ子編、スキャンダル編、と主人公達が死んでいくまでの壮大な物語を描いて欲しいと思ってます。「ずっこけ中年三人組」の例もあるので、ひそかに期待してみることにします。


2006年9月 5日

深夜特急

会社の先輩のオススメ「深夜特急」を読みました。



沢木耕太郎が若かった頃、バスを使ってユーラシア大陸を横断し、ロンドンに到着するまでの旅行記です。

会社の通勤時間にちょっとずつ読み進めました。

不思議なモノで、ページを開いた瞬間に、今まさに自分が沢木耕太郎と共に旅行をしている気分になるから不思議です。

アジアの怪しげな露天で騙されそうになっては一緒にハラハラし、おもしろいことがあれば一緒に笑い、辛いことがあれば一緒に涙を流す。そして旅が終わりかけの頃は、「旅を終わらせたくない」という沢木耕太郎の気持ちと、「読み終わりたくない(もっと読んでいたい)」という自分の気持ちがリンクして、何とも言えない感慨深い気持ちになりました。

作中では「旅は孤独だ」と語られていましたが、こうして旅行記になることで、それこそ何万、何十万、いや何百万人の人と旅を共にすることができるのですから、文字って素敵です。

初めての海外旅行だった新婚旅行で、バリに行き、あまりの「アジア感」に、ホテルをほとんど出ることなく過ごしてしまったことをちょっと後悔したりして。あの頃に読んでおけば、旅ももう少し違ったものになったんじゃないかなぁと思いました。

青春時代に読むと良い本らしいですが、もう少し歳をとってから、またゆっくりと読んでみたいです。

2006年8月24日

なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?

社会人5年目になって、「なんで俺が」とか「なんで俺だけ」とか小生意気なことをちょいちょい考えるようになったので、戒めのために購入しました。



人材育成・コーチング系の本はカーネギーさんの「人を動かす」で、まあ大体のことは書いてあるなと思うのですが、この本は視点をちょっと変えて「できる(と思っている)人」が、「できない人」をコーチングできないのはなぜか、ということを説明してあります。

一例として挙げられていたのが、「できる人」が「できない人」を教えるときにありがちなパターン。

「できる人」は、分かりやすく噛み砕いてゆっくりと教えているつもりなのに、「できない人」に取ってはそれが難しく早く感じてしまいます。それでも、「できない人」は感覚的に「できる人」がレベルを下げて説明していることが分かるので、ついつい分かったふりをしてしまう。

社会人になってバリバリ頑張っている人、その中でも特に「俺だけががんばっているなぁ」とか「なんで他の人はこれをやらないんだ」とか思ってしまっている人は一度手に取ってみては?


2006年8月15日

出口のない海

「半落ち」の横山秀夫が、戦争末期の特攻人間魚雷「回天」に乗った若者を描いた作品です。

主人公が大学生で、高校野球の元ヒーロー投手という設定が秀逸。

軍国教育を強いられていなかった世代が次第に戦争に巻き込まれ、「死にたくない」という自分の気持ちに抗いながらも、家族のために命をなげうつという過程が生々しく描かれています。

また「回天」という特攻兵器について、その容姿や訓練方法、操縦方法、そして実際の兵器としての効果に至るまで詳しく書かれています。

終戦記念日に首相が靖国神社を参拝して騒がれていますが、若い世代はその是非を論じる前に少しでも戦争のことを知った方が良いなと思いました。

ちなみに私の父にこの本を薦めたところ、「良い話しじゃった。涙を流して読んだ」との感想をもらいました。

2006年7月30日

赤い指

「サウス・バウンド」を読み終えたので、鹿児島の書店で買ったのが「赤い指」。

「容疑者Xの献身」で直木賞をとった東野圭吾の受賞第一作です。待ちに待った新作。「サウス・バウンド」に引き続き受賞第一作繋がりで、ちょっと嬉しいです。

中学生の息子が幼女殺人を犯してしまった家族をめぐる物語。老人介護問題や、家族のコミュニケーションの問題に踏み込んでます。

東野圭吾お得意の、最後の数ページでぐっとこさせるテクニックは今回も健在。泣かせていただきました。

2006年7月29日

サウス・バウンド

帰省する際に持っていった本が、以前に買って読んでいなかった「サウス・バウンド」。

「空中ブランコ」で奥田英朗が直木賞を取った後の受賞第一作です。

元過激派の父親に翻弄される家族の姿を小学六年生の息子の視点から描いた物語です。

都会的な人間関係に悩む東京編の第一部と、都会とは全然違うルールに戸惑いながらも次第になじんでいく沖縄編の第二部の対比が鮮やかでした。

奇しくも、東京から鹿児島にやって来た自分の姿と、東京から沖縄に行った主人公の姿とが、妙にだぶっておもしろかったです。本棚で読まれずにずっと置いておかれてたのは、今日この日に読まれるためだったのかと思うくらいのベストタイミングでした。

2006年7月14日

パワポ使いへの警告

はてなブックマークで紹介されていた「パワポ使いへの警告」を読んでみました。

ちょうど最近仕事でちょっとした企画書のようなもの(アイデアメモレベル)を作っていたので、タイミングもばっちり。

本の内容は、「『企画する』ことと『企画書を書く』ことを混同してはいけない」という話から、「企画書を作る『規格』」の説明があり、最終的に「企画書のフォーマット」まで丁寧に解説してくれてます。

ブレストの正しいやり方も載っていてかなり参考になりました。

一番ためになったのは、「アイデアを出す際は使える使えない問わず100個以上出してみる」というところ。これ、大学生のときに先輩から同じような話を聞いていて、色々なシーンで実際に試してみようとしてことが何回もあるんですけど、実際にそれだけの数のアイデアを出すのってかなりしんどいんですよね。それでもいわゆる「プロ」と呼ばれている人たちは、実践しているわけで。僕もITのプロとして、一つの思いつきに固執せず、幅広い視野を持って、色々な可能性を考えないといけないなぁと思いました。

2006年7月 5日

DEATH NOTE 12

DEATH NOTEの最終巻を読みました。

途中間延びした感のあった「DEATH NOTE」でしたが、終わってみると、第一回目から最終回まで綿密な計算の元に書かれた作品だなぁという印象です。

旧Lが死んでから、読んでいてなんとなく気持ちの悪さを感じていたんですが、それが何か分かりました。

「ノートに名前を書くだけで人を殺せる」という能力を得た夜神月が、決定的にダークサイドに墜ちたのがあの辺りだったんですね。「正義のため」という目的が、いつの間にか「Lを出し抜く」「世界の神となる」という自己中心的な目的に変わっていて。それが読んでいて居心地の悪さを感じさせていたのでした。

ものすごい力によって良い人間が駄目になる話しと言えば、アナキンがフォースのダークサイドに墜ちてダースベーダとなるスター・ウォーズ6部作的なストーリだったとも言えます。

あーあ、それにしても好きな漫画が終わっちゃったら、なんかつまらないですね。この漫画だけ唯一コミックを買っていたんですが。

中田引退と言い、また一つ楽しみが減ってしまいました。

2006年6月30日

毛髪川柳

妻が職場の同僚から「毛髪川柳」なる本を借りてきました。

男性のみならず女性も含め、多くの人が経験する薄毛・脱毛といった髪の悩み。そんな髪にまつわる悲喜こもごもを、ユーモアたっぷりの川柳にして笑い飛ばしてしまおうという公募コンテストが昨年実施され、2004年10月20日(頭髪の日)に優秀作品の発表が行われた。コンテストを主催したのは、薄毛・脱毛についての正しい情報を提供し、自毛植毛の医療技術の普及・発展をめざすNPO法人「日本自毛植毛センター」。インターネット等を通じ、全国各地から1万3102通もの秀逸な作品が寄せられた。本書は、そのNPO法人日本自毛植毛センターの協力を得て、当書籍編集部が多数の応募作品のなかから176句の優秀作品を選出、一冊の書籍に編んだものである。 (BOOKデータベースより)

要は毛髪(というか「ハゲ」)に特化したサラリーマン川柳みたいなものですね。

パラパラと最初の方を読んでみたんですが、おかしくて思わず声を出して笑ってしまいました。

前半で気に入った句を2句ほど紹介します。

「子を叱り 言われた言葉は ハゲぞこない」

「朝起きて 娘一言 かわいそう」

いやー、切なさ満点ですね。

とはいえ、僕もこんなの読んで笑っている場合じゃないんですけどね。

僕も投稿してみようかな。

2006年6月21日

沈まぬ太陽 会長室編

沈まぬ太陽 アフリカ編、御巣鷹山編

「沈まぬ太陽」の会長室編を読み終えました。

御巣鷹山の航空機墜落事故で経営陣が退陣し、内閣総理大臣が直々に、後任の会長として関西の紡績会社の会長を指名します。国見という名のその会長は、自身の紡績会社で労使の共同体制を成功させた実績を持つ、すぐれた経営者。確かな知見と行動力を武器に、国民航空改革に乗り出します。その過程で、会長直属の実働部隊として会長室なるものを設立し、その一員に、アフリカ編で僻地への流刑で苦汁をなめさせられた恩地を登用します。

改革に乗り出した途端、次々と明らかになる腐敗の構造。

この腐敗が酷いったらありゃしないんですわ。

人の命を預かる航空会社とは思えない価値観の元、私腹を肥やすことばかり考える魑魅魍魎がうようよしてるんですね。

その悪党を、新会長と恩地がばったばったとなぎ倒し!って展開になったら気持ちが良いんでしょうけど、そうは問屋がおろさない。悪い奴ほどしぶとく、かつ悪知恵がついているもので、国見や恩地の一歩先、一手先を読んで自分たちの都合の悪いことを隠していきます。この辺の駆け引きが実に面白く描かれています。

それにしても、悪い奴らって、自分たちが悪いことしていると思っているやつらはまだ良い方で、「俺らがやっていることは正義だ」と思いこんでいる悪い奴らほどたちの悪い連中はいませんね。この作品の中でも、都合の悪いことを言う連中は「アカだ」「国賊だ」と騒ぎ立て、敵対視するのです。なんかどこかの国を思い出しちゃいましたよ。

「白い巨塔」に続き、「沈まぬ太陽」も面白かったので、このほかの山崎豊子作品を読んでみようかなと思います。

2006年6月14日

沈まぬ太陽 アフリカ編、御巣鷹山編

「白い巨塔」の山崎豊子が描く、JALをモデルにした現代大河ドラマ。

全五巻を読み終えてから感想を、と思っていたのですが、とりあえず御巣鷹山編を読み終えたところで自分の気持ちを落ち着かせる意味で書いてます。

アフリカ編では、主人公の恩地が労働組合の委員長となり、航空会社職員の劣悪な労働条件を改善したことで会社から目を付けられ、異例の「海外11年勤務」を強いられる姿が描かれます。

海外に11年、しかもカラチやテヘラン、そしてアフリカと、いわゆる「僻地」というところに追いやられ、次第に憔悴しきっていく恩地の姿は痛ましく、閉鎖的な会社の怖さや冷徹さに身震いしてしまいました。

そんな中でも、恩地の復帰を信じ、そして結果的に恩地が日本に帰るきっかけを与えることになる仲間の姿にも胸が熱くなりました。

御巣鷹山編では、タイトルの通り、御巣鷹山の墜落事故について描かれています。

この描写については、すでに横山秀夫の「クライマーズ・ハイ」という小説で知っていたのですが、改めて事故現場の凄惨さを想像し、愕然としました。

特に、遺体を引き取りに来た遺族のエピソードで、虫の死骸も見られない妻が必死の思いでバラバラの遺体を見て回り、指の爪の形から夫の手を探し当てるというくだりは、読んでいて涙がこぼれ落ちました。

この本を読んでいると、去年相次いだJALの不祥事や内紛がオーバーラップし、「また同じことを繰り返すのでは」と心配になってきました。

利益のみを追求し、安全を省みない企業・従業員にはなりたくない。強くそう思った次第です。

2006年6月 3日

ディック・フランシス「大穴」と「重賞」

関連エントリ:ディック・フランシス「奪回」

「奪回」に引き続き、会社の先輩からディック・フランシスの競馬シリーズ「大穴」と「重賞」を借りて読みました。

「大穴」は、元障害競馬騎手の探偵が、銃で撃たれて病院に入院しているところから物語が始まります。落馬事故により、片腕が不自由になって、人生に対して生き甲斐を見いだせない主人公が、とある競馬場を危機から救うために立ち上がるというストーリー。

落馬事故で片腕の自由を失ってしまった主人公が、事件解決を通じて人間的にも立ち直っていくという筋は、「ビューティフル・マインド」のロン・ハワードが監督して映画化したらおもしろそうです。

「重賞」は、馬主から不正行為でお金を巻き上げていた調教師と、その馬主が馬を取り合うという話。「大穴」や「奪回」のようは派手さはないですが、良く練られたプロットで、ソダーバーグ監督が「オーシャンズ11」のタッチで映画化したらおもしろそうです。

原作自体がおもしろいのですが、その面白さを損なわない菊池光の訳もお見事。結構前の小説ですが、未だに根強い人気があるのも頷けます。

2006年5月21日

陽気なギャングの日常と襲撃

伊坂幸太郎の新作にして、初の続編もの。

福岡への行き帰りで読み終えました。

人の嘘を100%見抜くことが出来る成瀬、人を惹きつける演説が得意な響野、凄腕スリの若者久遠、正確な時間を刻む体内時計を持つ雪子、この4人の銀行強盗が活躍するサスペンスです。

伊坂幸太郎の本全般に言えるのですが、設定やシチュエーションなどは「そんなんありえないよなー」というものばかりなのに、何故かぐいぐい物語に引き込まれてしまいます。今作もまた、登場人物達の愉快で軽妙な掛け合いに乗せられてしまいました。

物語中で出てきた「巨人に昇れば、巨人より遠くが見える」というのは良い言葉だなぁと思います。自分より大きな人の力を借りて成長する、という意味で。

2006年5月14日

町長選挙

直木賞を受賞した「イン・ザ・プール」に続く、奥田英朗の伊良部シリーズ3作目。

今作には4つの短編が収められていて、タイトル作以外の3作品が「実在の人物」をモデルにしています。それぞれ、ナベツネ、ホリエモン、そして黒木瞳。

これまでのシリーズにはない試みなので、読んでいて若干違和感がありました。まあそれでもエンターテインメントに仕上がってはいるのですが、前2作と比べると弱いかなぁという気もします。

タイトル作の「町長選挙」は、これまでの伊良部シリーズ同様、ぶっ飛んだばかばかしさがあって納得の作品になってます。

2006年5月 6日

第三の時効

これまたGW中に実家で読むためにセレクトした本。「半落ち」の横山秀夫の刑事物短編集です。

F県警強行犯係の活躍が、短編毎に視点を変えて描かれていきます。

一班、二班、三班とそれぞれにひと癖もふた癖もあるリーダとその部下がいて、互いに事件の解決を争い、ときに反目し、ときに助け合う姿は、読んでいて熱くなります。

短編それぞれに味があり、甲乙付けがたいのですが、この中でも特にぐっときたのが「囚人のジレンマ」というお話。

「囚人のジレンマ」とは、ゲーム理論や経済学で登場する有名な問題で、Wikipediaで詳しく紹介されているので、興味がある方はそちらを読んでみてください。

本来の意味は結構難しいのですが、小説の中では「別々の取調室に入れられた2人の犯罪者が、互いのことを信頼するかどうか(相方が別の部屋で自白を始めていないか)で悩み、自分が自白すべきかどうか苦悩する」という意味で使われています。

このお話の中では、この「囚人のジレンマ」が刑事の方にも発生してしまうと言うのがポイント。互いに手柄を争う中で、仲間を信じることができるのか、というサスペンスがおもしろいです。

最後にはほろっと来る場面もあり、まさに横山秀夫の真骨頂といった仕上がりになっています。

2006年5月 3日

「へんな会社」のつくり方

うちの会社は暦どおりのお休みなので、気分的には今日からGW突入! でもテレビでは「GWも今日で折り返し」なんて言われていて、ちょっと萎えます。

今日の夕方から土曜日まで妻の実家で過ごすことになり、実家で読書する本を、と買ったのがこの「『へんな会社』のつくり方」。

はてなという、ブログやソーシャル・ブックマークなんかのサービスを展開している会社の社長さんが書いた本です(正確にはブログを書籍にまとめたもの)。

はてなという会社で行われている、立ちミーティングや「あしか」というタスク管理システムの解説や、はてなが取り組んでいるインターネットサービスへの想いなどが語られています。

若い、ってのもあるんでしょうが、上の人が「これでいくぞ!」というエンジンになって、周りがブレーキやステアリングになりサポートしていく、そしてブレーキやステアリング役の中から次のエンジンが産まれていくというハッピーなサイクルが回っていて、読んでいるとワクワクしてきます。この感じ、「ウェブ進化論」を読んだときと似てるんですよね。

立ちミーティングとかは、一時期話題になって色々なメディアで取り上げられたことがあるので、このミーティングではてなを知っている人も多いはず。

うちの会社も、「立ちミーティングだとミーティング時間が短縮されるから効率的だ!」なんつって立ち会議室作ったことあるんですが、定着せずになくなっちゃいましたからね。

でも、はてなの本を読んでみると、「立ちミーティングをする場所は、フロアの真ん中」で、「自分に関係がないと思った部分は、聞きながら自席で作業をしていても良い」というルールもあったみたいで。こういう方法論を取り入れるときって、ちゃんとその背景とか目的を理解させた上でないと意味がないってことが良く分かりました。

2006年4月30日

国家の品格

会社の先輩から借りて読みました。売れてるみたいですね。

ちょっとそれは言い過ぎだろうと思う部分も多々ありますが、論理性ばかりを追うのではなく情緒を分かる心を育てるのが大事だという大筋の論には賛成です。

「一番困るのは、情緒に欠けて、論理的思考能力はばっちり、というタイプの人です」というのも納得。仕事をしている上で、「この人の言っていることは分かるんだけど、なんか釈然としないなぁ」と感じるときは、これが原因のようです。

あと、「真の国際的な人間を作るには、まず国語から」という論旨もなるほどなぁと思いました。小学生から英語が喋れたって、喋るべき内容がなければ、国際人として尊敬されることはないそうです。同じことがパソコン教育にも言えますね。

小学生のうちからコンピュータに触れさせたからと言って、パソコンで実現できる様々なこと(文章を書いたり、映像作品を作ったり、音楽作品を作ったり)のためには、まず自分の中に情緒を感じる心と、それを表現するための知識を貯め込まないといけないのです。

僕は早いうちからパソコンを触らせるのは良いことだと思っていたのですが、うまく誘導してやらないと、ただただインターネットやゲームに興じるだけの人に育ってしまうのですね。息子の教育に役立てなければ。

もう1点、おもしろかったのは、バカの壁の養老孟司さん同様、この本の作者藤原正彦さんも、日本には「エリート」が必要だと説いているところです。「平均化」「格差なし」を訴えて、平等な社会をアピールしている今の日本のままでは、どうやら未来はなさそうです。

両方とも大ヒットしている本なので、未読の方は読み比べてみてもおもしろいですよ。

2006年4月26日

ディック・フランシス「奪回」

会社の先輩からディック・フランシスの「奪回」を借りて読みました。

ディック・フランシスは1960~70年代に活躍した英国のミステリー作家。

元軍人であり、元障害馬の騎手であり、元新聞記者であった彼は、その経験を活かしたミステリ作家になります。特に競馬騎手時代の経験から、競馬を事件に絡めたミステリを何作か書き上げ、ディック・フランシスと言えば「競馬シリーズ」と言われるようになったとか。

僕が借りた「奪回」は、氏の中期の作品で、「競馬シリーズ」の中の一作。誘拐事件を専門に扱う会社の調査員が主人公で、誘拐される人物が競馬界に関係しているというストーリで、「競馬シリーズ」と言うには半ば強引な気もします。

昭和60年の初版本を借りたのですが、言葉遣いや時代背景が若干時代を感じさせるも、物語の骨格は今読んでも全く違和感はなく、素直に楽しめました。

2006年4月 6日

死の壁

養老孟司さんの「死の壁」を読みました。

大ヒットとなった「バカの壁」の続編にあたる作品ですが、「バカの壁」を読まずにこちらを先に読んでしまいました。

日本人が避けて通る「死」について、養老さんの考えが綴られており、すっと頭に入ってくる内容でした。

本の中で印象深かったのが、「死」の話ではなくて「人は変わるものだ」という話。

日本人は、自分は不変のものであるという考えが根底にある。だから、何かで失敗しても「あのときの自分はおかしかった」とか「冷静な判断力を失っていた」と、正常でなかったから失敗したというロジックに持っていってしまう。自分が変わらないと思っているから、失敗した自分を認めたくないのだ、という論旨でした。

何かのおりに「あのときああ言ったじゃないか」と指摘されても、変な言い訳するんじゃなくて、「あのときはそう思っていたから」とさらっと言えるようになりたいです。過去の自分を否定することはなかなか難しいですが、これができるのとできないのとでは、人としての深みがずいぶんと違うと思うので、これから意識していきたいです。

2006年3月27日

終末のフール

伊坂幸太郎の新作「終末のフール」を読みました。

「8年後に地球に巨大な隕石が墜ちてきます」とアメリカから発表があってから5年後の、仙台のとあるマンション住民に関する短編集。

終末を告げられた人間達が、まさしく言葉通りの地獄のような状態を抜け、終末に向けてわずかな平穏が訪れたところで起こる悲喜交々の8つの物語です。

ぐっと来たのは「演劇のオール」と「深海のポール」。

「演劇のオール」は、家族を失った倫理子が、同じく家族を失った人たちの「家族のフリ」をするなかで起こる小さな奇跡に、思わずにんまりとさせられます。まるで三谷幸喜のお芝居を観ているかのような気持ちになりました。

「深海のポール」は、短編集のほぼ全編に登場するレンタルビデオ店の店長のお話。といっても、ビデオがどうのこうのという話ではなく、「生きること」について考えさせられる内容。実際、現実に「今から8年後に隕石が墜ちて人間は滅びます」という発表があったとき、自分はどう生きるのか想像せずにはいられませんでした。

現実は、隕石が墜ちることはまずないらしく、墜ちるにしても8年も前に予測することは難しいらしいのですが、「終末」に向かってじわりじわりと近づいているような「気がする」という現代社会の閉塞感を考えると、小説の中の出来事として放っておくということはできません。

この2編は、短編集の最後から2編なのですが、すべての物語の登場人物が微妙にリンクしているので、最初から順番に読まないと、おもしろさが半減してしまうので要注意です。

余談ですが、短編の名前が「終末のフール」「籠城のビール」「演劇のオール」といった具合に「○○の○ール」と韻を踏んでいます。伊坂幸太郎という作家は、こういう細かい部分の遊び心に長けてるんですよね。僕の中ではポップな村上春樹という印象です(村上春樹も十分ポップかもしれませんが)。

2006年3月24日

Life Hacks PRESS デジタル世代の「カイゼン」術

昨日記事を紹介したtacaさんから教えてもらった雑誌「Life Hacks PRESS デジタル世代の『カイゼン』術」を買ってきました。

"hack"とは、技術者が自分の仕事を片づけるために作成した小さな個人用のプログラムのこと。その「プログラム」という意味が、生活全般や仕事のやり方についての「自分なりのやり方」という意味まで広がり、それが"lifehacks"と呼ばれるようになったそうです。

Googleのサービスの活用方法や、TODOの管理方法、文房具のうまい使い方等々、実践したら効果ありそうな記事がたくさん載っていて参考になります。勉強会の開催方法についても言及されていて、会社で実践できそうです。

仕事のやり方について、雑誌序文に「ああなるほど」と大いに考えさせられる部分がありました。

「技術者たちは11時間かかる単調な作業を片付けるために、10時間かけてスクリプトを書きます。彼らは反復作業を嫌います。たとえ10時間かかっても、スクリプトを書く方がおもしろいならそうするのです」

分かります。この気持ち。

僕の会社は、SI(システムインテグレータ)の会社で、お客様の会社の業務がよりスムーズにまわるようにシステムを提案して構築していくのですが、最近、社員の技術力不足が深刻になってきているんですよね。これはうちの会社だけではなく、この業界全体のことなのかもしれませんが。

明らかに単調作業で、Excelのマクロを組むなり、JavaやPerl、或いはコマンドプロンプトレベルのプログラムを書けば、仕事は早く終わるし、手作業によるミスも少なくなるし、もし同じ作業を再度やらなければならないときに、かなりの工数削減になるというのに、この「プログラムを作る」或いは「今までのやり方を見直してみる」というプロセスに踏み込む人がかなり少ないです。こういう普段の仕事の方法を変えていくだけでも、技術者不足への一手にはなるのかもしれません。

ここ数年、ものごとのやり方が変化するスピードってものすごく早くなっているので、その流れに取り残されてしまわないように、自己鍛錬を怠らないようにしなければ。

2006年3月17日

ダ・ヴィンチ・コード

文庫版が発売された「ダ・ヴィンチ・コード」を読み終わりました。

キリスト教に関するウンチクが随所に散りばめられていて、「へぇ~」「なるほど~」と感心させられること多々。

この作品中で語られているキリスト教に関する様々な話題は「こじつけだ」とか「作り話だ」とか揶揄されることが多いようですが、そういった指摘は本質からずれているかなと。「学術論文」ではなく、あくまで「ミステリー」ですからね。

どんでん返しあり、叙述トリックありと、ミステリーとしての完成度はなかなかのものです。

5月にトム・ハンクス主演で映画化されるということで、そちらも楽しみ。

2006年3月11日

劇団ひとり著「陰日向に咲く」

劇団ひとりの処女作「陰日向に咲く」を読みました。

帯の各界著名人によるコメントは若干誉めすぎのきらいがありますが、なかなか面白かったです。劇団ひとりの芸風を知っている方は、彼が演じている姿を想像しながら読めるかもしれません。

全体的にコメディテイストで描かれていますが、途中、不意を突いて感動的なシーンがやってきます。涙もろい僕ですが、「泣くもんか!」とばかりに気合いを入れたので、なんとか涙は回避できました。

恩田陸さんの本が好きな人とか、読んでみると良いかもしれません。

それはさておき、「処女作」って言い方、なんかやらしいですよね。根強く残る処女に対しての妙な信仰を感じてしまいます。

どうせなら、作家が男性の場合は「童貞作」にしましょうよ。或いは「筆おろし作」とか。

2006年3月10日

カフカの「変身」をゲーム化

ダ・ヴィンチ4月号におもしろい企画が載ってました。

その名も「日本文学ふいんき語り 特別編」。

「日本文学ふいんき語り」とは、ゲーム作家の3名が「教科書でおなじみの文豪が『わたくしの作品をゲーム化してくれないか』と依頼してきたら」というテーマで繰り広げられる対談集だそうで、本の雑誌「ダ・ヴィンチ」では、その3名に高橋源一郎氏を加え、カフカの「変身」をゲーム化したらどうなるか、ということについて対談が行われています。

良くある話で、中高生くらいで読んだ本を大人になってから読むと、また違った感想になるということが、名作の場合は顕著なようで。中学生くらいだと、小難しそうな話を読んで、「はて、これはどう理解して良いものか」と思わず解説を読んでしまう。ところが、大人になるとそういった束縛(名作は名作らしく読まねばならない)からは解放されるため、虫になった主人公を世話する妹に、現代社会の介護の苦労を重ねてみたり、虫になってしまう主人公に引きこもりを重ねてみたり。確かに本って自由に読んで良いんだよなと再認識させてくれる対談内容でした。

肝心のゲーム化の内容は、3名がそれぞれ「こんな感じのゲーム化どう?」ってアイデアを出し合うのですが、それがまた面白い。僕のツボにはまったのが、「ぷよぷよ」とか作ったクリエータの米光さんのアイデア。

「・・・ゲーム化で考えたのは、『ファイナルファンタジーオンライン』みたいなネットゲームで、勇者や魔法使いのキャラが『あるとき虫になる』ウイルスを作ってみたい。レベル32くらいの勇者で今日も活躍するぜと思ってログインしたら、虫になってる。・・・(中略)・・・颯爽と走ったり、チョコボに乗ってたのが、虫で、もぞもぞしてて。・・・(中略)・・・戻れない(笑)。仲間からも、名前はあいつだけど、違うじゃんって相手にされなくなる。敵だと思われて、攻撃されて」

確かに、ログインしたら、ある日突然虫になっていたらかなり怖いかも。なんで? そんなことありうるの? と慌ててみても、誰にも助けてもらえない。虫になるってところはシュールだけど、現実として同じような扱いを受けるように可能性があながち高くないってところが余計に怖いなぁ。

日本文学ふいんき語り ダ・ヴィンチ 04月号 [雑誌]

2006年2月13日

オシムの言葉

ジェフ千葉の監督オシムの半生と名言を綴ったスポーツエッセイ。

ジェフ千葉のホームページでオシム監督語録として紹介され、多大な人気を博しているオシム監督の言葉は、含蓄とユーモアが混在していてとても面白いです。

この本の中にも「なるほど」と思わず唸ってしまうような言葉が散りばめられています。

例えば、レアル・マドリードの監督を断った経緯に触れて、

「・・・ジダンやベッカムやロナウドやいろんな人間を集めても、じゃあ彼らのためにいったい誰が走るんだ? だからあそこはスペインでもヨーロッパでもチャンピオンに成れないだろう」

とか。

良い言葉です。

オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える
オシムの言葉―フィールドの向こうに人生が見える

2006年2月 2日

ビバ!モーニング

毎週「モーニング」を買ってるんですが、大学生の頃、モーニングってそんなに魅力的じゃなかったんですよね。ヤングマガジンとかヤングサンデーとかそっちの方が楽しかったりして。モーニングってどっちかってーとオヤジが読む漫画雑誌みたいな印象で。

バガボンドが連載されるようになってから買って読み出したんですが、結構おもしろいんですよね。最近は「ブラックジャックによろしく」とか「はるか17歳」とか「ドラゴン桜」とか「N'sあおい」とか、ドラマ化されるような話題作が続いてますし。

興味深いのは、この漫画雑誌を僕の妻も読んでるってこと。「島耕作」とか「バガボンド」とか、男目線で見ると「女の人が読んで何がおもしろいんだろう」ってなるんですが、「OL進化論」とか子育ての漫画とか、「ドラゴン桜」とか、女の人でも楽しめる様な作品がちゃんと揃っているわけです。

なんつーか、一家に一冊あったら、家族がまんべんなく楽しめるようなラインナップになっているんですよね。こりゃ、結構がっつりマーケティングされてるんじゃないかと思うわけです。

さらにさらに、最近は表紙の上部の帯文字が、上下逆さまに印刷されてるんですよ。なんでだろうと最初疑問に思ったんですが、これ、コンビニの棚に平積みされたとき、ちゃんと文字が読める向きになってるんですね。いやはや、結構工夫されてますわ。

たかが漫画週刊誌といえど、学ぶべきところは色々ありますなぁという話でした。

2006年1月 8日

The MANZAI

あさのあつこ著「The MANZAI」を読みました。

とある事情で田舎に引っ越した中学生が、同級生の人気者から「漫才やらないか」ともちかけられ、学園祭で漫才を発表することになるというお話。

僕も高校生3年生のときに学園祭でコントをやったのですが、そのときのことを思い出して胸が熱くなりました。作中で、漫才をしているときに先生のものまねとかを入れたりするのですが、これもまんま経験あり。学生が考える事って誰でも同じなんですね。

本の中で、一番胸にぐっときたのはこのくだり。

ぼくたちの漫才が漫才と言えるほどのものでなく、稚拙なかけあいであることは、あとで、わかった。高原がビデオをとっておいてくれたのだ。それを見て、ぼくは、真っ赤になって俯いた。秋本は精進がたりませんなんて、ため息をついた。でも、みんなが笑ったのは事実だ。僕の体の熱いリズムが、それに応えて高くうねったのも、事実だ。

そうそう。そういうものなんですよ。やっていることはすごく幼稚だったり、完成されていなかったりするんですよ。でもね、それを受け入れてもらえるかどうかは、その情熱が観客に伝わるかどうか、伝えられるかどうかだと思うんですよ。

初心忘るべからず。精進せねば。

The MANZAI 1

2005年12月 4日

DEATH NOTE 9

DEATH NOTE」の9巻を読みました。

初期の頃に比べ話が複雑になってきて、ドキドキ感がなくなってきたかなぁ。

物語が始まった当初は、「名前を書き込むとその人物を死に至らしめることができる死神のノート」に関する細かなルールを、少年が天才的な閃きで探し出し、それを利用して自らの理想を実現するという過程が、サスペンスフルに描かれていましたが、ノートが2冊出てきた辺りから「作者の後付のルール」が気になるようになってきました。

要は理屈っぽくなってきたんですよね、登場人物の台詞が。その理屈っぽさも、登場人物から登場人物への理屈っぽさではなく、作者から読者への理屈っぽさ。

さくっと序盤で最終回を迎えておいた方が良かったのかもしれません。このままだと「幽遊白書」の二の舞になっちゃうかも・・・。

次巻の発売は2006年2月らしいので、良い意味で予想を裏切ってくれることを願っています。

2005年11月27日

「黄金の人生設計」を知る

お金について何も知らんなぁと、27歳になった今改めて思うわけです。

結婚して、子供ができた今、気になってくるのが、保険や家の購入、老後のための貯蓄といったもろもろのこと。これまでの人生でなんとなく避けてきた部分なのです。「まだ関係ないからいいや」と。

これじゃいかんなと思い立って、友人に勧められた本「世界にひとつしかない『黄金の人生設計』」を読んでみました。

いやー、勉強になりました。なるほど、そういう見方があるのかと。特に、「今の家賃なら家を買ってローンを払った方が、後になって家が残る分お得ですよ」というサラリーマンのセールストークの真実に関する部分は目からうろこが落ちました。やはり家の購入は慎重に考えなくては。ヒューザみたいな会社もあることですしねぇ。

あと、年金や保険の仕組みについても詳しく、分かりやすく説明してありました。

サラリーマン、馬鹿にされすぎですね。読んでいて腹が立ってきましたよ。サラリーマン(特に若手)が、こういうのに対して興味がないのを良いことに好き勝手しすぎですね。

これで次の選挙から投票に関する基準ができました。マニフェストも、もっとちゃんと読みます。政治に対してちょっと興味が持てるようになったかもしれません。

世界にひとつしかない「黄金の人生設計」

2005年11月25日

介護漫画「ヘルプマン」

熱い漫画が好きなんです。

毎週楽しみにしていた政治漫画「クニミツの政」の連載が終わった今、僕のこの熱い漫画欲を満たしてくれているのがイブニングで連載中の「ヘルプマン」です。

介護問題を題材にしたこの漫画、熱い、実に熱いです。

最新号のイブニングでは、ケアマネージャーから見た介護保険制度がテーマになっていて、業者が提供する介護サービスを必要のない老人達に押しつけようとする(押しつけなければ利益が上がらない)ケアマネの現場に、理想の介護に燃える主人公が真っ向から挑んでいます。

ケアマネ事務所の上司から、もっと業者が提供する介護サービスを利用するようなケアマネプランを立てるように強制された主人公が、机を蹴飛ばしてこう言います。

「あんた・・・間もなく自分も介護されようかって年になって・・・そんなやり方で正しいと思ってるのか? 十人十色の人生を背負っている百人百様のジジババたちを・・・現場も知らないバカ役人が考えたできたてホヤホヤの介護保険システムに押し込められると本気で思ってるのか!?」

いやー、しびれます。

何も机を蹴飛ばさなくても、とは思いますが、正論をずばっと言ってくれるのはスカッとして気持ちいいですね。

迫り来る超高齢化社会に向けて、是非とも読んでおきたい一冊です。

ヘルプマン! (1) ヘルプマン! (2) ヘルプマン! (3) ヘルプマン! (4)

2005年11月14日

演劇ぶっく

友人が「演劇ブック12月号」に載ったというので、買ってきました。

今月号では「Over1970」という特集をしていて、1971年生まれ以降の小劇場界注目の人をピックアップしていました。記事曰く、1971年生まれ以降の世代は「理想を夢見た改革も、バブルの熱狂も、小劇場ブームの洗礼も知らない」世代らしいです。

特集の中で「影響を受けた人は?」という質問があって、何人かの人が「三谷幸喜」や「松尾スズキ」の名前を出していました。

「三谷幸喜」、分かるなぁ。

僕も中学・高校生の頃、友達がNHKの衛星放送を録画した三谷幸喜や野田秀樹の作品を視聴覚室でむさぼるように見て、おもしろい役者さんの動きや台詞を一生懸命真似したものです。ネットもなかったあの頃、鹿児島の片田舎で僕らは演劇情報に飢えてましたから、とにかくどん欲に、どんなものからでも吸収してやるぞという勢いがありました。まあ若かったってのもあるんですけど。

ありがちな話ですが、俗に言われる必要な「ハングリー」さって、そういうことなんじゃないかと思います。

さて、これから登場する「ネットで情報が簡単に手にはいるようになった世代」は、どんなところで影響を受け、どんな作品を作り出すようになるのでしょうか。

演劇ぶっく 12月号 [雑誌]

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旧サイトと平行運用していこうと思ってましたが、面倒なのでblogだけ更新することにしました。